研究課題
川崎病は、乳幼児期に発症する原因不明の全身性炎症性疾患であるが、その病態としての血管炎に付随しておこるサイトカインストーム、内皮細胞障害マーカー、細胞外マトリックス分解酵素などのbiomarkerが、IVIG不応例を予測するリスクスコアや治療法と関連しているかは不明である。本研究の目的は、治療前血清中サイトカイン・ケモカイン濃度、蛋白分解酵素と抑制系の量的均衡と治療反応性の関連および予測性を明らかにすることである。対象患者は2000年8月〜2005年3月までの期間に群馬県立小児医療センターにて初期治療を受けた32例とした。32例中31例は先行研究である無作為化比較試験でIVIG群(18症例)とIVIG+PSL群(13症例)にランダム割り付けが行われた。対象患者は(1)初期治療開始前、(2)IVIG終了後24〜36時間、(3)IVIG終了後2〜3週で血液を採取し、BioPlex suspension array systemを用いて、血清中のIL-1β、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-10、IL-12、IL-13、IL-17、TNFα、IFNγ、GCSF、MCP-1、MIP-1αを、ELISA法にてMMP-3、TIM-1、ICAM-1を測定した。その結果、リスクスコア点熱はIL-6、IL-7、IL-8、IL-10、IL-17、G-CSF、MIP-1α、ICAM-1、MMP3と有意に相関していた。また、初期治療開始2日目のIL-6、IL-10、G-CSF、ICAM-1はIVIG群に比べIVIG+PSL群が有意に低値であった。MMP-3は他のmarkerとは逆にIVIG+PSLによる介入で高値になり、IVIG+PSL療法はより速やかに血管炎をdown-regulationすることによって予後改善に寄与している可能性が示された。
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Pediatr Infect Dis J. (in press)
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