川崎病は小児期に好発する代表的な全身性血管炎であり、急性期には冠動脈炎に伴う冠動脈瘤の発生を認める。さらに遠隔期においては血管内膜の肥厚による硬化性病変とともに、冠動脈病変の有無にかかわらず血管内皮機能障害が残存することが報告されるようになってきており、急性期から遠隔期に及ぶ血管内皮機能障害の抑制や改善並びにその再内皮化を考慮に入れた治療戦略をたてることが重要であると考えられる。今回、離乳早期日本白色系家兎(生後5-7週、平均体重700g、雄)を用い、馬血清を2回静脈内投与して血管炎モデルを作成した。血管炎群は、さらに2回目の馬血清投与(7週目)2日前より14日間、HMG-CoA還元酵素阻害剤(フルバスタチン、プラバスタチン)を投与する治療群を同時に作成し両者を比較検討した。結果として、血管炎群では、3日目より激しい内膜の剥離を伴う全層性の炎症性変化、中膜を中心とする浮腫状血管壁肥厚、内弾性板の破壊などを伴う血管炎が出現し、血管壁の肥厚は5日目をピークとして、以後消退した。一方、治療群において、全層性の炎症反応は軽減し、内膜の限局的炎症性変化、軽度の血管壁肥厚を中心とする変化に留まる傾向が見られた。以上の結果より、HMG-CoA還元酵素阻害剤による血管炎の早期(3日目)からの抗炎症効果が認められた。あわせて、川崎病既往児で危惧されている動脈硬化への進展に対するprospectiveな検討は病態評価と積極的な介入治療の意義と適応を明らかにする事が期待される。
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