研究課題
【目的】受動喫煙は酸化ストレスを増加させ、その結果発癌や動脈硬化を促進させる。小児における受動喫煙と酸化ストレスの関係についてはほとんど検討されていない。今年度の研究目的は受動喫煙が酸化ストレスに及ぼす影響を調べるためである。【方法】対象は幼稚園児251名(年齢は3~4歳)。受動喫煙の程度は尿中コチニン量の測定(高感度競合ELISA法、0.5ng/mlまで測定可能)による。酸化ストレスの生体内指標には尿中イソプロスタン値(ELISA法、コスミック社製)を用いた。【結果】尿中コチニン量の分布は測定感度0.5ng/m1以下は50.8%、残りの49.2%はコチニンが検出された。両親の喫煙状況と尿中コチニン量は良好に関係しており、特に母親の喫煙状況が尿中コチニン量に反映された。両親および他の同居者ともに非喫煙者の園児の18%にコチニンが検出され、それらでは家庭内以外での受動喫煙の曝露が示唆された。一方、尿中イソプロスタン値は尿中コチニン量の高い例では測定感度以下の例と比較すると有意に増加していた(平均28.2pg/ml vs 17.3pg/ml、P<0.01)。【考察】園児の受動喫煙は主に家庭内で母親から受けている。その結果、酸化ストレスの指標であるイソプロスタンが増加し、将来発癌、動脈硬化などの発症が危惧される。
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Pediatr Int 52
ページ: 94-99
Ann Epidemiol 19
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