研究概要 |
平成22年3月末現在、合計292家系298症例から432検体(皮膚線維芽細胞194検体、肝臓102検体、筋肉94検体、心臓27検体、腎臓7検体、脾臓2検体など)のご提供を頂いた。現在までのところ261家系267名においてBlue Native電気泳動(BN-PAGE)を用いたWestern Blotとin gelenzyme stain、およびin vitro酵素アッセイを用いた蛋白レベルの解析が終了し103家系110名を呼吸鎖異常症と診断した(診断率110/267=41.2%)。その内訳は、単独酵素異常症65例(特に呼吸鎖I異常症が44例)、複合型酵素異常症42例等である。複合型酵素異常症を中心にmtDNA枯渇症候群を15家系17症例に認め、うち肝型mtDNA枯渇症候群中4家系6症例で遺伝子異常を発見できた。内訳はMPV17 (451insC/S170F)2例(兄弟例),POLG(I1185T/A957V)+SUCLG1(P173A/--)1例,DGUOKc.143-308_169del335 homo 2例(姉妹例),DGUOK(L248P/c.143-308_169del335)1例である。特にDGUOK c.143-308_169 del335変異は日本人のコモン変異の可能性がある。うちMPV17遺伝子の複合ヘテロ異常(487insC/S110F)兄弟例の症例報告はMol Genet Metabに掲載された。またミトコンドリア遺伝子異常としても既知、未知含めて20症例に変異を発見し、以上のまとめの投稿を計画している。結論と考察:BN-PAGEはミトコンドリア呼吸鎖異常症をはじめとする高乳酸血症の鑑別・スクリーニングに大変有用であると思われ、解析の結果日本人にもmtDNA枯渇症候群と呼吸鎖I単独酵素異常症の頻度が高いことが確認された。
|