研究課題
本研究の目的は、大規模なゲノムコピー数の増減が疾患発症に関わるメカニズムを明らかにすることにある。前年度に引き続きPLP1遺伝子領域のゲノム重複が原因であると診断されたPelizaeus-Merzbacher病(PMD)患者由来サンプルに関してさらに2例追加してfiver-FISH法にてゲノム挿入方向を確認した。解析したサンプルにおける重複は、追加症例に関しても一様にタンデムに挿入されており、共通のメカニズムで重複が起こっていることが確認された。また、原因不明の神経疾患患者約200例のゲノムコピー数を追加解析し10%以上で何らかのゲノム異常を認め、これまでに報告のない新規のゲノム異常も複数見出した。これらはほとんどが染色体の中間部の異常であり、欠失の両断端に繰り返し構造が存在していることが多く、染色体の不安定な領域において異常が起こりやすいということが明らかとなった。15番染色体長腕の重複はそのひとつである。この領域の挿入はてんかんなどの精神神経症状を示すことが明らかになってきており、自閉症との関連で注目されている。今回の解析では腕内でこの領域が3倍になっている症例を見出したが、他施設からの報告同様逆位と順列挿入で3倍になっていることが確認された。また、これまでの解析で、疾患とは直接関係のない新規のゲノムコピー数の増多も複数確認された。これらの領域においてゲノム構造をfiver-FISH法で確認したところ、PMD患者に見られるPLP1遺伝子領域の順列方向への挿入同様の所見を示す領域もあれば、逆向きに挿入されている領域も存在しており、ゲノムの構造異常が起こるメカニズムはその領域によって異なっていることが明らかとなった。これらの事実はゲノム構造異常が発症するメカニズムを追求する上で重要な知見と考えられる。
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