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2008 年度 実績報告書

川崎病血管炎におけるリンパ系システムの分子制御機構に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 19591226
研究機関東京女子医科大学

研究代表者

寺井 勝  東京女子医科大学, 医学部, 教授 (80207472)

研究分担者 安川 久美  千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (10375769)
キーワードVEGF-D / 川崎病 / リンパ管新生
研究概要

川崎病は原因不明の乳児の血管炎である。免疫グロブリンが無効の重症例では冠動脈瘤の発生率が高く、新たな治療法の確立されていない。我々は、血管透過性の亢進とこれに続くplasma leakageによる浮腫が重症川崎病のひとつの特徴であることを報告した。本研究では、川崎病血管炎におけるリンパ系システムの再構築の分子基盤を明らかにし重症例の新たな治療に役立てることを目的とした。
まず、リンパ管新生分子であるVEGF-Dの関与が認められるかをインビトロで証明した。血中VEGF-D濃度が川崎病の回復期に有意に増加することが判明し、VEGF-Dが川崎病の治癒機転に何らかの役割をしていることが示唆された。DNAマイクロアレイを用いて、末梢血球中のこれら分子のmRNAを熱性対照患者との比較で解析した結果、末梢血球からの産生はみられず、組織からの産生が示唆された。RT-PCR法を用いて、DNAマイクロアレイの解析結果でも同様の結果であった。川崎病剖検組織において、VEGF-D及びその主たる機能的受容体(VEGFR-3)の発現を免疫組織化学的に解析した結果、遠隔期川崎病や対照組織と比較して、VEGF-Dは浸潤単核球や心筋組織、血管内皮に発現、また受容体はリンパ管内皮に発現し、リンパ管内空面積の拡大からリンパ管新生を示唆する所見であった。さらに、VEGF-Dは冠動脈瘤患者の回復期では有意に低値であることが判明した。インビトロで、冠動脈内皮細胞をTNFで処理すると、VEGF-Dの産生が抑制されることが判明した。以上より、川崎病血管炎において、VEGF-Dが血管炎の修復機転に大きな役割をしていることが示唆された。冠動脈瘤患者ではリンパ系システムの治癒機転が遅れていることが示唆された。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2008

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Elevated granulocyte colony-stimulating factor levels predict treatment failure in patients with Kawasaki disease.2008

    • 著者名/発表者名
      Abe J, et al
    • 雑誌名

      J Allergy Clin Immunol 122

      ページ: 1008-1013

    • 査読あり
  • [雑誌論文] : 川崎病2008

    • 著者名/発表者名
      寺井 勝
    • 雑誌名

      小児内科増刊号 40

      ページ: 1445-49

  • [学会発表] Increased production of vascular endothelial growth factor-D and lympangiogenesis in acute Kawasaki disease.2008

    • 著者名/発表者名
      Ebata R, Yasukawa K, Hamad a H, Higashi K, Abe J, Terai M
    • 学会等名
      9th International Kawasaki Disease Symposium
    • 発表場所
      Taipei
    • 年月日
      2008-04-11

URL: 

公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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