研究概要 |
1.血管炎惹起後の血管内皮細胞および血管平滑筋細胞の分離および培養:血管炎が惹起された後に摘出した左鎖骨下動脈から血管内皮細胞および血管平滑筋細胞を分離。それぞれの培養を試みたが、両細胞とも十分な培養結果を得ることが出来なかった。2.血管平滑筋細胞の虚血条件下での微小電気生理学的検討:単離した血管平滑筋細胞を10分間・60分間、代謝阻害薬としてシアン化ナトリウム(NaCN 2mM,酸化的リン酸化を阻害)とヨード酢酸(IAA 5mM,解糖系を阻害)を添加し、虚血モデルとした(Yokoshiki H et al. Pflugers Arch1999)。短時間または長期間虚血処理を行ったものと、虚血処理を行わない3群の細胞系を用いてwhole cell K_<ATP>チャンネル電流密度およびミトコンドリアK_<ATP>チャンネル電流密度の測定を行い比較検討した。結果:短時間虚血を誘発した群で有意にK_<ATP>チャンネル電流密度およびミトコンドリアK_<ATP>チャンネル電流密度が増加し、長時間虚血処理した細胞ではその両方とも有意に低下した。3.炎症を誘発した血管内皮細胞の虚血下における血管作動性物質の推移Confluentに培養されたHUVECをTNFα100pM Over nightで刺激し血管内皮細胞に対し炎症を惹起させ、さらにNaCN 1mMを添加することで微小電気生理学的検討と同様に虚血モデルとした。虚血下においてける血管作動性物質の発現の推移を観察した。TNFαを負荷していないものをコントロールとし、TNFαのみ負荷した物、さらに虚血を15分間、30分間、1時間、2時間、8時間負荷した物の合計7群の細胞を用意し、ELISAもしくはRT-PCRを用いてIL-6,8,MCP-1,ET-1,Angiotensin II, VEGF, TGFβ、ICAM-1, VCAM-1, RAGE DNA chipの各血管作動性物質の推移を検討した。これらの検討は現在続行中であり、後1カ月ほどですべてのデータが揃うことが期待される。
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