研究課題/領域番号 |
19591228
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研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
柿沼 宏明 金沢医科大学, 看護学部, 教授 (60271376)
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研究分担者 |
佐藤 仁志 金沢医科大学, 医学部, 助教 (20303224)
伊藤 順庸 金沢医科大学, 医学部, 助教 (60367472)
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キーワード | 甲状腺ホルモン輸送体(MCT8) / 胎児脳発達 / 甲状腺ホルモン |
研究概要 |
本研究では、MCT8遺伝子変異を持つ症例の症状は胎児脳の甲状腺不足によるものという仮説を立て、以下の実験を行った。この変異を持つ個体は、重度の精神運動発達遅延を認め、多くの症例は寝たきりとなる。また体位変化に伴う下肢のジストニア様運動と部分てんかん発作を特徴とする。 2007年までの実験内容を学会および論文発表し、同様の臨床症状症例の遺伝子を全国より提供してもらい、MCT8遺伝子変異の有無と発現実験による機能解析を行い、臨床症状と変異タンパク機能との相関を試みた。集められた検体は自験例を含め4症例であった。PCRダイレクトシークエンスによって塩基配列を確認し、それぞれ685insGTG(既報)、T912C、577delAA、G1492Aの変異だった。追加された3症例について発現実験を行い、機能解析を行った。甲状腺ホルモン輸送能の実験では、685insGTGに50%程度の活性、T912Cに40%程度の活性、577delAA、G1492Aには活性を認めなかった。これらの症例の臨床症状、検査結果等を比較検討したが明らかな差異は認められなかった。このことからほぼ野生型と同程度の甲状腺ホルモン輸送能がなければ、不可逆的神経症状に発展することが推定された。 胎生早期の母体からの甲状腺ホルモンの影響に関する検討では、現時点で明らかな神経・精神症状を訴える症例は出現していない。しかし広汎性発達障害や自閉症スペクトラムの発現は就学前までの観察が必要であるため、引き続き追跡調査を継続中である。
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