研究概要 |
申請者らは,高アンモニア血症に基づく精神神経症状を呈する成人発症II型シトルリン血症(CTLN2)の病因,ならびに病因遺伝子にコードされるタンパク質(シトリン)の機能を明らかにし,さらに本遺伝子,およびmitochondrial glycero13-phosphate dehydrogenaseをダブルにノックアウトしたマウスを作成し,本疾患モデルとなりうることを示してきた。本研究では,このダブル-KOマウスの病態を解析し,治療法の開発を目指している。本年度は,本ダブル-KOマウスの育種に力を注ぎ,そのシステムを構築した。さらに本ダブル-KOマウスの特徴である,ショ糖投与による血中アンモニア濃度の上昇に対する各種の食品、物質の効果を検討した結果,(1)ショ糖だけでなく,グルコース,フルクトースなどの糖類で血中アンモニアが上昇すること,(2)アンモニアを発生しうるアミノ酸混合物(トリプトン)でまったく血中アンモニアは上昇せず,逆にショ糖による高アンモニア血症を阻止する効果が得られた。また,本条件下で血糖の上昇をも抑制することが判明した。そこで,血糖の上昇を起こさない糖質投与の効果を検討中である。以上の結果はCTLN2発症予防法の確立は可能であることを示唆している。
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