研究課題
申請者らは、高アンモニア血症に基づく精神神経症状を呈する成人発症II型シトルリン血症(CTLN2)の病因を明らかにし、病因遺伝子にコードされるタンパク質(シトリン)の機能を明らかにし、さらに本遺伝子、およびmitochondrial glycerol 3-phosphate dehydrogenaseをダブルにノックアウトしたマウスを作成し、本疾患モデルとなりうることを示してきた。本研究では、このダブル-KOマウスの病態を解析し、治療法の開発を目指している。本年度は、本ダブル-KOマウスの特徴である、ショ糖投与による血中アンモニア濃度の上昇に対する各種の食品・物質の効果を検討しショ糖だけでなく、グルコース、フルクトースなどの糖類で血中アンモニアが上昇すること、(2)アンモニアを発生しうるアミノ酸混合物(トリプトン)でまったく血中アンモニアは上昇せず、逆にショ糖による高アンモニア血症を阻止する効果が得られた。また、30%ショ糖を含むAIN76合成飼料の摂取が少なく体重が低下するが、20%ピルビン酸ナトリウムを加えることによって体重減少が抑えられることを明らかにできた。以上の結果は、シトリン欠損症における、ショ糖などの糖質の毒性、およびピルビン酸、アミノ酸などの治療薬としての可能性を示している。一方、GC-MSを用いて、対照マウスとの比較で、ダブルKOマウスにおいて含有量を異にする肝内代謝中間体を検索した結果、Glycerol 3-phosphate (G3P)濃度が高く、またショ糖の投与で著しく増加することを見出した。この結果を酵素法によるG3P測定によって確認することができた。肝内G3P濃度の変化は、今後の治療薬探索における良いマーカーになるものと考えている。
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http://inetsrv103.bunri-u.ac.jp/kenkou/index.php?c=38-91&PHPSESSID=462bd4a15d0cd9a7242862bc8e149e85