研究概要 |
睡眠障害を伴う発達障害患者,睡眠障害を伴わない発達障害患者,発達障害を伴わない睡眠障害患者を対象として抽出した.AD/HD rating scale(AD/HD-RS), Child Behavior Checklist(CBCL)に加え,行動の問題のより簡便なスクリーニングツールとしてStrength and Difficulties Questionnaire(SDQ)を用いて発達障害を評価・分類するとともに,Children's Sleep Habits Questionnaire(CSHQ)を用いて睡眠障害の評価を行った.これらのツールのうち,本邦での標準化が行われていなかったSDQとCSHQについては,正常コントロールを用いた標準化作業も並行して行い,これらのツールの本邦での標準値を得たことにより,今後の研究を円滑に遂行する基礎データを確保した. 神経生理指標の評価としては,終夜睡眠ポリグラフィを施行して睡眠生理指標の連続記録を行い,一部の症例では日中の覚醒度評価も行った.また,携帯型装置による下肢周期性四肢運動の判定もあわせて行った.これらの評価を行うことにより,発達障害患者においては,レストレスレッグス症候群や周期性四肢運動障害がしばしば見られ,それに伴う日中の覚醒度の低下につながる場合があることが明らかとなった.また,概日リズム睡眠障害を伴う症例が少なくないことを見出し,無拘束デバイスによる睡眠覚醒リズムの評価も追加して行った.Pulse transient time(PTT)を用いた自律神経覚醒反応(autonomic arousal)の記録も並行して行っており,これらの皮質下覚醒の影響についての基礎的検討を行っているところである.
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