平成20年度においては、大豆凝集素(SBA)による濃縮操作を用いず、Hydroxyethylstarch(HES)分画およびFicoll-Paque比重遠心により得られた単核球を間葉系幹細胞培養用にスクリーニングされた胎児牛血清(FCS)10%添加MesenCult培地にて培養した。培養した17件の臍帯血のうち、線維芽細胞様の形態を有する付着性の細胞の増生が認められた臍帯血は5件であった. いずれについても培養開始後2週間から4週間で細胞の増生が確認されたが、培養を長期に維持することができず、8週間程度で増殖は停止したため、機能解析実験までには至らなかった。培養効率の向上を目的として、以後の実験に供する臍帯血は採取から培養開始までの時間が短いものを用いることとした。また培養器を40cm2ディッシュから6穴プレートに変更した。採取から培養開始までの時間が比較的短い(3-11時間)10件の臍帯血について培養を実施したが、線維芽細胞様の形態を有する付着性の細胞の増生が確認されたのは3件あり、増殖を維持できている2件については細胞増幅と性状解析実験を継続中である。また宮城さい帯血バンクにおいてHES法により調製後、液体窒素中に保存された臍帯血のうち、調製後の細胞数が基準を満たさなかった臍帯血4件の提供を受け、解凍後にFicoll-Paque比重遠心により分離した単核球を用いて同様の方法により培養を試みたが、いずれについても培養開始後4週までに線維芽細胞様の形態を有する付着性の細胞の増生は確認されなかった。
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