研究課題/領域番号 |
19591242
|
研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
池住 洋平 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (70361897)
|
研究分担者 |
河内 裕 新潟大学, 医歯学系, 教授 (60242400)
唐澤 環 新潟大学, 医歯学総合病院, 医員 (30447601)
|
キーワード | 慢性糸球体腎炎 / M2型マクロファージ / CD163抗原 / CD204抗原 / ステロイド薬 / ミゾリビン / 線維化 |
研究概要 |
全ての慢性糸球体腎炎の進展過程にみられるマクロファージ(MQ)について、特に組織修復または線維化に関るM2型マクロファージに注目し、M2型MQに発現するCD163やCD204抗原陽性MQについて、in vivo,in vitroの実験系およびヒト腎生検検体を用いて以下検討を行った。 1.動物実験モデルおよびin vitroによる解析 ラットのメサンギウム増殖性糸球体腎炎モデルを用い、ヒトIgA腎症の治療薬として用いられるステロイド薬および免疫抑制薬(ミゾリビン:Miz)の単独または併用による治療効果を検討した。その結果、Mizにより蛋白尿、組織の改善効果が認められた一方、ステロイド薬単独療法ではM2型MQの増加によりむしろ硬化糸球体が増加することが明らかになった。腹腔MQを用いた検討により、MQはステロイドによりM2活性が増強し、TGF-βやCTGFといった組織線維化に関わるサイトカイン発現が増強し、同反応はMizによって抑制された。以上より、ステロイドはM2型MQを誘導し、組織線維化を助長する可能性が示唆され、一方MizはM2型MQの活性化を抑制し、腎組織の慢性化(線維化)抑制効果を発揮する可能性を見出し、欧文誌に発表した。 2.腎生検組織による解析 小児および成人のIgA腎症の腎生検検体を用い、慢性化例(進行例)におけるCD163またはCD204陽性MQの浸潤頻度の組織障害度との関連を比較検討した。その結果、成人例は発症初期から組織学的な慢性化所見が有意に高度であり、またM2型MQの浸潤が有意に多いことが明らかになった。糸球体メサンギウム基質の増生や間質線維化の程度とM2浸潤度に有意な相関がみられ、M2型MQが慢性糸球体腎炎の進展過程で組織の慢性化に関わっていることを明らかにし、欧文誌に発表した。
|