研究概要 |
正常ヒトダブルネガティブ(DN)T細胞は自己免疫抑制調節性機能を持つが、自己免疫性リンパ球増殖症候群(Autoimmune Lymphoproliferative Syndrome: ALPS)において増加するDN T細胞ではCD95/CD95L細胞死誘導欠損により調節性T細胞(Treg)機能が低下し、自己免疫病態が拡大する。DNT細胞のTreg細胞としての特徴を正常およびALPS患者において比較解析した。ALPSのDNT細胞の細胞表面発現はCD7、CD62L、CD45RO発現が低下、CD4+Treg細胞と同様にIL-7R陰性で、CD57,CD38,CD95,HLA-DR,CD45RO陽性であった。一方、CD4+Treg細胞の特異的転写因子FoxP3蛋白発現は認められなかった。DNT細胞の培養後細胞死比率はALPS 83%、健常人30%と有意にALPSにおいて有意に増加していた。DNT細胞のTCRレパートワ分布解析ではALPS14症例中5例(35.7%)、正常対照40例中3例(75%)にTCRVβの1種類以上のあきらかな増加を認めた。CDR3 spectrum解析ではALPS11例(78.5%)、健常人全例で3種類以上のVβにoligo-clonal patternを認めた。また、ALPSの症状を有するがCD95誘導性細胞死が正常であったALPS III型と考えられていた症例4例のうち1例にモザイク型CD95変異が存在することを証明した。変異比率はDNT細胞では100%、他のリンパ球ぶ分画でも1-10%存在し、繊維芽細胞や口腔粘膜上皮細胞にも1%存在し、モザイク型の変異を初めて見出した。
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