研究概要 |
1.体質性黄疸患者の遺伝子解析 本年度は約70名の体質性黄疸患者におけるビリルビンUDP-グルクロン酸転移酵素遺伝子(UGT1A1)の解析を行った。日本国内の医療施設のみならず海外からの遺伝子解析の依頼に応じ症例の解析を進め,遺伝性非抱合型高ビリルビン血症の遺伝的背景を明らかにする基礎的データを蓄積できた。更なる症例の解析を続け,診断基準の作成を行ってゆく。 2.培養細胞を用い発現実験によるUGT1A1変異の酵素活性に及ぼす影響の検討 UGT1A1遺伝子を含む発現実験ベクターにcDNAにsite directed mutagenesis法を用いて,患者の遺伝子解析より発見さられた新規変異(p.L131P)を作成。COS7細胞に強制発現させて14C-グルクロン酸を用いて変異によるUGT1A1の活性の測定を行い,ミスセンス変異であるにもかかわらず,酵素活性が失われ,最重症のCrigler-Najjar症候群1型を発症させることが明らかになった。Molecular Operating Environmentを用いp.L131Pのタンパクの置換がUGT1A1の酵素の立体構造に大きな変化をきたすことを見出した。この成果はこの3月に論文として発表された。
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