研究概要 |
本年度、国内外から依頼のあった、遺伝性非抱合型高ビリルビン血症(Crigler-Najjar症候群、Gilbert症候群および母乳性黄疸)75例のビリルビンUDP-グルクロン酸転移酵素遺伝子(UGT1A1)の解析を行なった。これまでの解析結果と合わせて、本症候群の分子遺伝学的診断基準の作成に必要なデータの蓄積ができた。現在、論文を作成し投稿準備中である。また、この研究成果は2008年7月にカナダのケベックシティで行なわれた第12回国際グルクロン酸抱合・UGTワークショップで発表した。インドの共同研究者から依頼のあったCrigler-Najjar症候群I型の症例について新たな変異p.L131Pを発見した。発現実験によりこの変異はUGT1A1の立体構造を変化させ、活性を失わせ重症型のI型を発症させることを解明した(M aruo Y, et al. J Pediatr Gastroenterol Nutr 2008)。 UDP-グルクロン酸転移酵素(UGT1A9)の解析により日本人固有のp.D256N多型を発見し薬剤の代謝・解毒活性を著しく低下させ、個人における副作用の発現実験に関与する可能性を示唆した(Takahashi H, et al. Basic Clin Pharmacol Toxicol 2008)。 新生児一過性甲状腺機能低下症の原因としてdual oxidase 2 (DUOX2)のbiallelic muta tionが関わっていることを発見した。DUOX2の8つの新規変異(p.L479SfsX2, p.K628RfsX10, p.K530X, p.E876K, p.L1067S, p.H678R, p.H678Rおよびp.R885Q)を発見、報告した。
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