研究概要 |
昨年度は、患者および健常者のTh2細胞を誘導し、遺伝子マイクロアレイ法にて、その遺伝子発現の特徴から分類不能型低ガンマグロブリン血症の責任遺伝子を同定することを試みた。今年度は、B細胞からのアプローチを行い、抗体産生型B細胞の特徴を詳細に解析できるように以下の解析を行った。分類不能型低ガンマグロブリン血症患者および健常者末梢血単核球よりマイクロビーズを用いてB細胞を純化した。純度は98%以上であった。純化したB細胞をSAC(0.01%,Sigma Chemical Co., St. Louis, MO)、IL-2(50ng/ml、Genzyme)、IL-10(50ng/ml, Genzyme)、抗CD40抗体(1μg/ml, Immunotech, Westbrook, ME)の存在下に1日間培養し細胞ペレットを液体窒素で凍結保存した。凍結保存しておいた細胞から、Isogen(Nippon Gene)にてRNAを抽出し、AminoAllyl Message Amp aRNA Kit (Ambion, Austin TX)を用いてリニア増幅した後、マイクロアレイ(Acegene Human Oligo 30K,日立ソフト)を行い、遺伝子発現を比較した。得られた多種の膨大な遺伝子発現に関するデータをGene Spring Software (Silicon Genetics, Redwood City, CA)で解析した。その結果、免疫グロブリンJ鎖、ROR1、Calponin3、Sarcogllycan ε、などが健常者と比較して有意に発現が低下していた。これらの結果より、分類不能型低ガンマグロブリン血症における遺伝子発現の特徴を明らかにすることができ、これらの特徴から、それぞれの候補遺伝子について塩基配列を決定し、責任遺伝子の同定を行うべく研究を継続している。
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