研究概要 |
申請者は神経芽細胞腫由来腫瘍幹細胞および神経幹細胞の細胞特性を解析し、神経芽細胞腫由来腫瘍幹細胞と神経幹細胞との類似点と相違点を明らかにすることで、神経芽細胞腫の悪性化メカニズムを解明することを目的に研究を進めている。マウス神経芽腫細胞腫株N1E115からミルテルニーバイオテク社製のマグネットビーズを用いて、グリオーマ腫瘍由来腫瘍幹細胞の表面マーカーであると報告のある抗CD133抗体で腫瘍幹細胞を単離しようとしたが、良好な結果は得られなかった。最近、Mansfordらはヒト由来神経芽細胞腫の腫瘍初期化細胞の存在を明らかにし、神経幹細胞の培養方法と同様な培養条件でneurosphereに類似した腫瘍塊を形成させて腫瘍初期化細胞を単離する方法を報告した(Cancer Res. 67:11234-43,2007)。今後我々も同様な方法を用いてマウス神経芽細胞腫株N1E115から腫瘍幹細胞を単離することを計画している。一方、正常の神経幹細胞の単離については、それぞれ胎生14日齢のマウス全脳および日齢21日の成体マウス側脳室外側からneurosphere法によって神経幹細胞を単離した。抗nestin抗体を用いた細胞染色によって神経幹細胞由来のneurosphereであることを確認し、totalRNAを回収し保存した。神経芽細胞腫由来腫瘍幹細胞にはグリオーマ腫瘍由来腫瘍幹細胞とは異なる表面マーカーが存在することが示唆され、neurosphere法に類似した方法である機能的な単離法によって幹細胞集団を回収することが必要と考えている。
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