研究概要 |
マウス片側尿管結紮(UUO)モデルにおいて、選択的マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)-2阻害剤(TISAM)をUUO早期(day-2〜4;UUO2日前から4日後)またはUUO後期(day7〜13)に投与し、それぞれday5、day14においてTISAM投与による間質線維化、浸潤マクロファージ数の変化を検討した。UUO腎ではin situ zymographyによりUUO-day4,day13ともにgelatinolytic activityの増加がみられ、いずれもTISAM投与によりgelatinolytic activityの抑制がみられた。同時に、TISAM投与により、UUO-day5,day14ともに間質線維化の増加を認め、間質浸潤マクロファージ数はUUO-day5では有意な変動を認めなかったが、day14では有意に減少した。さらに、マウス腹腔由来マクロファージのUUO腎組織に対する遊走能をinvasion chamberを用いin vitroで検討したところ、TISAM投与群ではUUO腎(day14)に対する遊走活性は抑制され、また細胞外基質(ECM)構成蛋白であるラミニンやファイブロネクチンに比し、ECM分解peptideであるRGDSに対しより大きな遊走活性を示した。コントロール群におけるUUO腎(day14)に対する遊走活性は、マクロファージをRGDS peptideとpreincubateし、ligand receptorをブロックすることにより有意に抑制された。これらの結果により、UUO後期の腎線維化修復過程においては、MMP-2を介して産生されたECM分解産物がマクロファージ浸潤を促進させ、この浸潤マクロファージはECM分解産物の?食処理により腎線維化の軽減と組織修復に関わっている可能性が示された。
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