食物アレルギーの診断・治療には未だ多くの課題が残されており、その解決には発症機序や寛解の機構を明らかにすることが不可欠と思われる。とりわけ、アレルゲンに対する不要かつ不利益な応答を制御できない状態がアレルギーであるとすれば、免疫学的寛容の機序の解明が、発症のメカニズムの理解にもつながると思われ、アレルゲン特異的エフェクターT細胞や制御性T細胞の解析は重要である。本研究では、食物アレルギーの中でも特に頻度の高い鶏卵に対するアレルギーを対象として、発症機序や寛解の機構を明らかにすることにより、安全で有効な診断法や寛解導入療法を開発することを目的として、本症におけるアレルゲン特異的T細胞応答ならびに制御性T細胞の動態を解析する。 本年度は、鶏卵アレルギー患者のアレルゲン特異的サイトカイン産生のプロフィールについて、T細胞の細胞質内サイトカインはcarboxy fluorescein succinimidyl ester(CFSE)dilution assayを用いて、また、培養上清中に産生されるサイトカインはBioFlexを用いて同時に測定するシステムを構築した。 また、CD4^+CD25^+細胞として同定される制御性T細胞(Treg)が、アレルギー発症に果たす役割を解明する目的で、上記システムに、磁気ビーズを用いてCD25陽性細胞を除去することの影響を検討した。 これまでのところ、明確な結論は得られていないが、次年度も同様な検討を継続するとともに、アレルゲン特異的免疫療法前後でのサイトカイン産生プロフィールも検討し、治療法の改良に役立てる。
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