研究課題/領域番号 |
19591270
|
研究機関 | 群馬県衛生環境研究所 |
研究代表者 |
朴 明子 群馬県衛生環境研究所, 調査研究グループ, 研究員 (50450375)
|
研究分担者 |
林 泰秀 群馬県衛生環境研究所, 調査研究グループ, 研究員 (30238133)
加藤 政彦 群馬県衛生環境研究所, 感染制御センター, センター長 (30292593)
外松 学 群馬県衛生環境研究所, 調査研究グループ, 研究員 (70251113)
|
キーワード | 遺伝子 / ゲノム / 癌 / マイクロアレイ |
研究概要 |
日本白血病治療委員会(JACLS)のプロトコールで治療したT細胞型急性リンパ性白血病(T-ALL)55例とT細胞型非ホジキンリンパ腫(T-NHL)14例を対象にNOTCH1遺伝子とその上流のFBW7遺伝子の解析を、高速液体高感度クロマトグラフィ法(WAVE analysis)を用いてスクリーニングを行い、PCR法、直接塩基決定法を用いて遺伝子変異を検索した。NOTCH1遺伝子の変異はT-ALL55例中19例(34.5%)に、T-NHL14例中6例(42.8%)にみられた。変異のみられた25例中16例(64.0%)はHDドメインに、8例(32.0%)はPESTドメインに、1例(4.0%)は両方のドメインに変異がみられたが、NOTCH1変異の頻度はこれまでより低率であった。欧米の報告ではNOTCH1遺伝子変異は予後良好とする報告と、予後相関しないという報告がある。今回の検討では、NOTCH1遺伝子変異を有する症例は5年無病生存率、5年全生存率は有意に高かった。FBW7遺伝子変異はT-ALLでは55例中8例(14.6%)に、T-NHLでは14例中3例(21.4%)にみられ、これまで報告のない変異もみられた。FBW7遺伝子変異は予後良好な傾向がみられたが、5年生存率に有意差はみられなかった。興味深いことにFBW7遺伝子変異のある症例は染色体異常がみられない例が有意に(p=0.016)多かった。これらのことによりNOTCH1遺伝子変異とFBW7遺伝子変異は予後のマーカーになることが示唆された。今後は次期プロトコールで多数例による検討を行なう予定である。 現在PTEN遺伝子とNUP214-ABL1、EML-ABL1などのキメラ遺伝子についても検索を行ない、変異を有する症例の臨床的特徴、予後との相関について解析を行なっているところである。
|