研究課題
PTEN遺伝子は10q23.3に座位し、いくつかの固形腫瘍で遺伝子異常が報告され、癌制御遺伝子とされている。今年度は日本白血病治療委員会で治療したT-ALLとT-NHLにおけるPTEN遺伝子の異常と臨床像の関係を検討した。またAffymetrix社のSNP特異的オリゴヌクレオチドプローブの500kのGene Chipを用い、T-ALLとT-NHLの発症と進展に関与する新規遺伝子の抽出を行い、その遺伝子の機能解析および予後との相関を検討した。PTEN遺伝子の解析では、T-ALL細胞株9株中4株(44.4%)、T-ALL新鮮検体50例中8例(16.0%)、T-NHL17例中2例(11.7%)に異常がみられた。予後との相関は明らかではなかったが、臨床像との関係の詳細な検討を進めている。PTEN遺伝子異常のみられた細胞株4株と新鮮検体2例に、同時にNOTCH1遺伝子の異常を認めた。PTENとNOTCH1の両方の変異がみられる症例の存在より、NOTCH1からのシグナル経路とPTENからの経路が異なることも想定され、下流のAKT/PI3経路の遺伝子の異常の検索を進行中である。Gene Chipを用いたSNPアレイの解析では、T細胞受容体領域(7q35、14q11)の増幅と欠失以外に、6q、9p、11p、17p13等のホモ欠失やuniparental disomy(UPD)がみられ、このうち9p欠失領域にはp16/p15遺伝子のホモ欠失とUPDが同定され、11p13ホモ欠失領域ではWTI遺伝子が同定された。T-ALL50例とT-NHL17例における、WT1遺伝子の変異の検索では5例に変異がみられ、そのうちUPDが4例にみられた。WT1遺伝子以外に2つの新規遺伝子のホモ欠失とUPDをみい出し、いずれもT細胞の分化や増殖に関与する遺伝子であった。これらの遺伝子の変異解析と機能解析は進行中である。
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