研究課題/領域番号 |
19591277
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
海老原 康博 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (40302608)
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研究分担者 |
辻 浩一郎 東京大学, 医科学研究所, 准教授 (50179991)
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キーワード | ヒトES細胞 / 胎生期造血 / 胎児肝 / ストローマ細胞 / CD34+細胞 / CD45+細胞 / GPA+細胞 / 造血前駆細胞 |
研究概要 |
胎生10日のAGM(aorta-gonad-mesonephros)領域に発生するマウス二次造血は、その後造血の場を胎仔肝に移動し、爆発的に増幅することから、胎仔肝は二次造血を強力に促進する環境を形成していると考えられる。また、多くのマウス由来ストローマ細胞はヒト造血支持能をも有していることから、我々は、胎生15-16日のマウス胎仔肝からストローマ細胞を樹立し、ヒトES細胞との共培養を試みた。 その結果、共培養開始から数日で、ヒトES細胞は分化を開始し、分化細胞の数は次第に増加した。また、ヒト造血細胞マーカーであるCD34を発現する細胞が培養5-6日目頃から出現し、培養14日頃まで増加した。さらに、血液細胞マーカーであるCD45+細胞も培養6日頃から出現し、その数は次第に増加した。特に、赤血球系細胞のマーカーであるGPA(glycophorin A)を発現する細胞は、培養10日目頃より出現し、著明な増加を継続した。以上の結果は、我々が樹立したマウス胎仔肝由来ストローマ細胞との共培養により、ヒトES細胞からヒト造血が分化誘導され、赤血球を含む血液細胞が産生されたことを示している。 そこで、共培養中のヒト造血前駆細胞の出現を検討するために、共培養系中の細胞を浮遊細胞と付着細胞に分け、血液コロニー・アッセイを継時的に実施した。その結果、培養10日頃から造血前駆細胞は共培養中に出現し、培養14-16日頃まで増加した。顆粒球・マクロファージ系前駆細胞の約半数は浮遊細胞中にも認められたが、大部分の赤血球系前駆細胞や多能性造血前駆細胞は付着細胞中に存在した。今後、これらの造血前駆細胞を用いて、胎児造血をクローン・レベルで解析していく予定である。
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