研究課題/領域番号 |
19591281
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
日下 隆 香川大学, 医学部附属病院, 講師 (50274288)
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研究分担者 |
上野 正樹 香川大学, 医学部, 准教授 (30322267)
三木 崇範 香川大学, 医学部, 准教授 (30274294)
難波 正則 香川大学, 医学部, 助教 (90237636)
西田 智子 香川大学, 医学部附属病院, 助教 (00243759)
岩瀬 孝志 香川大学, 医学部附属病院, 助教 (30284368)
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キーワード | Near-infrared spectroscopy / Time-resolved spectroscopy / 脳血液量 / 脳組織Hb酸素飽和度 / 低酸素性虚血性脳症 / 新生児 / 遅発性脳エネルギー代謝不全 / 脳酸素代謝量 |
研究概要 |
低酸素性虚血性脳症(HIE)における脳酸素代謝の特徴的な経時的変化を観察するために、near-infrared time-resolved spectroscopy (TRS)を用いて、軽度仮死群4症例、重症仮死群5症例と、対照群として正常正期産児12例の計測値を用いて、脳血液量(CBV)、脳組織Hb酸素飽和度(ScO_2)値を比較検討した。この結果CBVは重症仮死予後不良例では生後24〜36時間で上昇し、36時間以降著明高値を示したのに比し、軽度仮死群では、生後48時間以内で一定しており、変動は認めなかった。ScO_2は重症仮死予後不良症例では生後24〜48時間で上昇し、48時間以降著明高値を示したのに比し、軽度仮死群では対照群と同様に変動は認めなかった。軽度仮死群においては、重症仮死予後不良群に認められるCBV、ScO_2値の変動を認めず、予後不良症例において、CBVが生後24〜36時間で上昇した理由は虚血再還流による脳血流量の増加によるものであり、ScO_2が生後24〜48時間で上昇した理由は遅発性脳エネルギー代謝不全により脳酸素代謝量が減少したためと考えられた。 また基礎的検討として、新生仔豚を用いた低酸素虚血負荷後の<31>^PNMRでの脳内エネルギー代謝(PCr/Pi)と、near-infraredを用いたScO_2の関係を検討した結果、負荷後6時間から54時間での遅発性脳エネルギー代謝障害時には、負荷が軽度の群ではPCr/PiとScO_2は負の相関を示すが、重度の群では正の相関を示した。これはHIEにより脳内酸素代謝が低下した事と、重度の群では脳浮腫が強く脳循環が悪化していることが原因と考えられた。このことからScO_2値は、ベットサイドでの遅発性脳エネルギー代謝障害を評価する方法の一つと成り得ると考えられた。
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