研究課題
新生児医療での重要課題である低酸素性虚血性脳症における、遅発性脳内エネルギー代謝障害時での脳酸素代謝の特徴的な経時的変化を明らかにすることは、成熟脳と異なる特異性を見出すために重要である。しかしこの間の脳内酸素代謝と脳エネルギー代謝の関係は検討されていない。今年度はこの検討を近赤分光測定装置を用いて、新生仔豚を対象として動物実験モデルで行った。対象は8例の新生仔豚。低酸素虚血負荷を低酸素、頚部圧迫と血管拡張薬を組み合わせ行い、^<31>P-MRSでのPi増加を評価して行った。蘇生後72時間まで、経時的的にPCr/Piと近赤分光測定装置(1MUC-7000,大塚電子社製)での脳組織Hb酸素飽和度(ScO_2)を測定し、その後の脳組織評価(HE染色)を9段階で評価した。この結果、遅発性脳内エネルギー代謝障害の期間には、組織障害軽症例(5例)ではPCr/PiとScO_2は負の相関関係を示すが、重症例(3例)では正の相関関係を示した。これは軽症例では組織酸素消費が減少し静脈内Hb酸素飽和度が高値であったのに対し、より重症例では脳血流の急激な上昇の後に脳浮腫が進行し虚血が進行したためであると考えられた。よって近赤外分光法によるScO_2の評価で、ベットサイドでの遅発性脳内エネルギー代謝障害が評価出来る可能性を示していた。また臨床例では、軽度仮死群4症例、重症仮死群5症例と、対照群として正常正期産児12例の計測値を用いて、脳血液量(CBV)、脳組織Hb酸素飽和度(ScO_2)値を比較検討した。この結果CBVは重症仮死予後不良例では生後24〜36時間で上昇し、36時間以降著明高値を示したのに比し、軽度仮死群では、生後48時間以内で一定しており、変動は認めなかった。ScO_2は重症仮死予後不良症例では生後24〜48時間で上昇し、48時間以降著明高値を示したのに比し、軽度仮死群では対照群と同様に変動は認めなかった。将来的には、これらの指標を用いた脳を中心とした治療指針作成が課題である。
すべて 2009 2008
すべて 雑誌論文 (11件) (うち査読あり 9件) 学会発表 (9件)
Pediatr Res. 65
ページ: 317-322
Neuropathol Appl Neurobiol. 35
ページ: 147-155
Hypertens Res. (未定)(In press)
Neurosci Lett. 2009 (未定)(In press)
Pediatric Infectious Disease Journal. (未定)(In press)
日本周産期・新生児医学会雑誌、 44
ページ: 869-871
周産期医学 38
ページ: 479-483
J Hum Lact. 24
ページ: 415-421
Congenit Anom(Kyoto). 48
ページ: 110-117
Neurosci Lett. 26
ページ: 23-26
Acta Neurobiol Exp (Wars). 68
ページ: 484-493