研究概要 |
鼻炎モデルに対するSTAT6 siRNAの効果の解析 鼻炎におけるSTAT6 siRNAの有効性を検討するため、OVA感作マウスの鼻腔にDays 21から27にかけて連日OVAを吸入させて鼻炎反応を誘発した。惹起開始翌日から3日間連続して(Days 22, 23, 24)PBSに溶解したSTAT6 siRNA(3nmol/day)を鼻腔内に投与して、その治療効果を検討した。その結果、STAT6 siRNAの投与により、くしゃみと鼻かき運動の回数が著明に減少した。炎症反応の抑制は好酸球を含めた細胞浸潤の減少によっても確認された。さらに、鼻炎モデルマウスの頸部リンパ節細胞をin vitroにてOVAで刺激しサイトカイン産生を観察したところ、STAT6 siRNA投与群でIL-4とIL-5産生が低下していた。一方、IFN-γに関しては有意な差は得られなかった。以上の結果より、OVAを用いたマウスアレルギー性鼻炎モデルにおけるSTAT6 siRNAの治療効果があることが確認された。また投与経路については、鼻粘膜が皮膚に比べて物質の吸収が容易であること、さらに臨床応用の際には点鼻薬として用いた方が簡便であることなどから、水溶液として鼻腔から吸引させることとした。その結果、STAT6 siRNAの鼻腔内投与は好酸球を含めた粘膜への細胞浸潤を非常に有効に抑制した。さらに非常に興味深いことに惹起5分以内に生じるくしゃみや鼻掻き行動も顕著に抑制した。
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