研究概要 |
本研究では、天庖瘡患者lgGによって生じる細胞反応の中で、特に抗Desmoglein(Dsg3)抗体による反応を解析する目的で、抗Dsg3モノクロナル抗体(mAb)を用いて培養表皮細胞を刺激したとき、Dsg3の分解を調節するp120-cateninのリン酸化とDsg3に対する結合性を検討した。病原性の強いAK23mAbがDsg3の細胞外ドメインに結合するとDsg3の細胞内ドメインとp120-cateninの結合は10分以内に低下する。その後、Dsg3はインタナリゼーションし、細胞外ドメインでの分解が生じることがわかった。また、病原性の低いAK18mAbやAK20mAbはp120ctnとの結合が亢進した。なおこの反応は、病原性の程度とDsg3の分解速度と平行して生じているため、病原性シグナルの可能性が極めて高いと考えられる。この過程に対するチロシンキナーゼ阻害剤(PP1,genistein)の影響を検討し、関連キナーゼを同定中である。さらにSrcによるp120-cateninのリン酸化誘導とDsg3の安定性の関連性と、さらにp120-cateninに結合するキナーゼの同定を行っている。また、Dsg3の分解部位をアミノ酸解析で同定を試みたが、キャップ構造を形成するためアミノ酸配列を解析することができなかった。そのため、方法を変更し、細胞外ドメインを認識するさまざまな抗体でウエスタンブロッティングを行い、切断部位を推定中である。
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