研究概要 |
メラノーマ免疫応答の研究で同定された細胞表面タンパク質の多くが,生体の基礎的機能及び高次機能の双方において極めて重要なGタンパク質共役型受容体(GPCR)である。そのため,この受容体の発現パターンの解析と分子機能を詳細に解析することは,メラノーマ免疫応答を制御するための重要な知見となるに違いない。さらに,新しいがんの治療薬及び診断薬開発に大きな一助となる可能性もある。 そこで現在その発現が検討されているβ2-adorenoceptor,P2Y5,Edg2,OGR1,CCR7,P2Y13,CXCR4,PAR2,α1c-adorenoceptor,α1d-adorenoceptor,P2Y1,PAR3,α1b-adorenoceptor,GPR91,mGluR1,GPR80,Edg6,SRT2などを,既に発現とリンパ球における機能が証明されているEdg1(S1P1)との比較において,CD4+CD25+foxp3+Treg細胞上の発現確認と機能検討を行った。 その結果,5種分子で,Edg1と同等またはそれ以上の発現がCD4+CD25+foxp3+Treg細胞上に確認された。Treg細胞の免疫抑制効果におけるそれら分子の関わりを証明するために,CD3刺激を含めたMLRへのTreg細胞の添加の系に,それぞれの分子特異的抗体を加えてみると,2種分子に対する抗体は,MLRによる増殖に何の影響も与えなかったが,違う2種分子に特異的な抗体は,MLRによる増殖を強く抑制する効果を持つことが判明した。また残りの1分子に対する抗体は,コントロールに比べ明らかな増殖の亢進作用を持つことが判明した。
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