これまでに選択したカンナビノイド作動薬を用いて、ダリエー病モデル皮膚構築に対して、その病理学的な効果を確認した。 数百種類の脂溶性薬剤ライブラリーの網羅的スクリーニングを遂行した。この結果、カンナビノイドとバニロイド作動薬に属する2群の薬剤が、ATP2A2遺伝子さらにはSERCA蛋白の発現を数倍に亢進することを発見し特許申請に至った。この2つの作動薬はそれぞれ表皮角化細胞に発現するCB2受容体とTRPV3・TRPV4受容体を介し、各々独立した機序で働くことも見いだした。恩熱感受性受容体によるSERCA2蛋白の発現の変化は、ダリエー病が脂漏部位に夏期に悪化することを考えると病態論的にも興味深い。その後、より患者皮膚に近い状態で効果を検定するために、京都大学の倫理委員会の承認を得て、ダリエー病患者皮膚より樹立した表皮角化細胞を利用した3次元培養ダリエー病モデルや、ヌードマウスへの患者移植片に対し使用し、これら作動薬が異常角化、棘融解、円形体などの病理像を改善し、健常な角化プロセスを回復する角化異常に対する強い抑制効果があることを確認できた。
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