研究概要 |
CIAS1がコードするクライオピリンは,細胞内微生物認識受容体として機能し,アダプター蛋白であるASCと会合しinflammasomeと呼ばれる蛋白複合体を形成,IL-1βのプロセシングに携わる。家族性寒冷葦麻疹に代表される自己炎症性疾患では,遺伝子異常の結果としてこのinflammasomeが活性化され,自発的なIL-1βの活性化がみられる。さらに我々は,CIAS1の疾患関連変異体をヒト単球細胞株へと導入した際に,cathepsinB依存性にネクローシス様の細胞死を誘導することを明らかにした。本研究においては,細胞内微生物認識受容体の活性化によって,周囲に炎症を惹起できるネクローシス様の細胞死が起こる機序を明らかにする目的で,ASCに会合する蛋白質をTAPtag法にてスクリーニングした。すなわち,ASCを構成するドメインであるCARDあるいはPYDをTAPtagベクターにクローニングした後にHEK293細胞に導入し、遺伝子を発現させた細胞抽出液と細胞死が誘導されるTHP-1細胞からの細胞抽出液とを混合して蛋白の複合体を形成させ,これをTAPtagに発現したprotainAとIgGとの会合を利用してIgGagarosebeadsで免疫沈降した。続いて、TEVproteaseで処理することでProt-Aを取り除き,会合した蛋白を上清として回収,続いてcalmodulinbindingprotein(CBP)を利用してカルシウムの存在下でcalmodulinbeadsで免疫沈降を行った。しかしながら,今回の実験系においては、残念ながら、この操作の後に蛋白質は抽出できなかった。現在は,計画書に記載したように,yeast2-hybrid法など別の実験手技を用いて,ASCに会合する蛋白質同定の検討を予定しており,その系の確立を目指している。
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