研究概要 |
1.NSE-tTA Tg/TRE-GluRl TgマウスとK14-SCFTgマウスをバッククロスすることにより、表皮にメラノサイトを維持するtriple transgenicマウスを作成した。 2.triple transgenicマウスはNSE-tTA Tg/TRE-GluRl Tgマウスに比較し、早期に黒色腫を形成する(平均、48w vs 20w). 3.尚、白色を背景にもつalbinoとNSE-tTA Tg/TRE-GluRl Tgとのバッククロスでは、黒色腫が生じなかった。これはNSEのdriveが白色メラノサイトにおいてはかからないためであると考えられる。 4.triple transgenicマウスの観察により、外傷部に早期に黒色腫の形成がみられることより、外傷によりシグナル活性化あるいはリガンド刺激が加わる可能性を考え、agonistの局所注射による検討、すなわち50nMおよび500nMのS-DHPGを右足底に10microL皮下注射、controlとしてPBSを10microL左足底に皮下注射することを、週1回6週継続にて、agonist注射で全身の黒色腫の増殖スピードの増大がみられ、mGluRlシグナルは黒色腫の増殖に関わることを見いだした。 5.triple transgenicマウスの耳、背、尾の組織検討にて、毛包由来のメラノサイトの癌化が初期に生じることがわかった。 6.mGluRlのligandであるグルタミン酸遊離を阻害するriluzole投与で黒色腫の新生を阻害する事を見いだし、mGluRlは黒色腫へのtransformationに関わることを明らかにした。 7.mGluRlの下流シグナルであるPLC, PKC, Ca release, cAMP等に対する阻害剤を用いてこれらシグナルが本マウスの色素細胞において細胞増殖、抗アポトーシス、抗老化に働くのかを検討中である。
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