1)乾癬発症関連遺伝子群の解析 (ア)HLA-Cw6に加え、同じHLA-C領域に位置する(イ)HLA-Cw12遺伝子が、転写制御因子であるRUNX1(runt-related transcriptional factorl)の結合部位(17q25)のSNP(SNP9:G→A)と相関することを新しく発見した。HLA-C対立遺伝子の多型性((ア)および(イ))が、他の遺伝子の機能に多面効果を発揮しているなど、遺伝子効果が多様である可能性が示唆された。 2)薬理遺伝学的観点からの解析 (ア)メトトレキセートの有効性ならびに副作用発現の度合いは、メチレンテトラビトロ葉酸還元酵素遺伝子のエクソン4(C677T)およびエクソン7(A1298C)のSNP多型と相関を示すことを見い出した。すなわち、677番目の塩基がTであると、臨床上副作用を誘発しやすいこと、そして1298番目の塩基がCであると、メトトレキセートはより有効であること、が判明した。この点については、今後症例数を増やして臨床へ還元すべくエビデンスを確かなものにする必要性がある。(イ)ビタミンDレセプター遺伝子のSNP解析から、乾癬患者群では、FoKI制限酵素で切断したときに検出されるf=ATG、F=ACGのうち、f対立遺伝子の頻度が増加傾向を示した。fが増加するということは、ビタミンDレセプターのビタミンD_3に対する感受性が低下することが知られており、このことがケラチノサイトの文化誘導に影響を与えることが予想され、注目に値する所見である。今後HCR(ビタミンDレセプターの遺伝子発現の制御に関する)-ビタミンDレセプター遺伝子の組み合わせを解析していく必要性が出てきた。 3)今後、(ア)HLA-C-HCR-TNFα、(イ)RUNX1関連SNP9、(ウ)HLA-C近傍のSNP解析、(エ)HLA-CをリガンドをするKIR、これらのハプロタイプないし遺伝子の組みあわせを検討し、ハイリスクハプロタイプの単離・同定および薬剤感受性を明らかにすることを目指す。
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