尋常性乾癬において真皮乳頭層に血管新生は認められその病態形成に重要な役割をになっていると考えられる。新たに発見された血管新生因子であるangiopoietin-related factor (AGF)をK14プロモーターの下流に発現するマウスの解析を行った。。このマウスは皮膚の表皮の基底層に存在するケラチノサイトに特異的にangiopoietin-related factorを強発現するものである。昨年は、マウスの交配を繰り返すことにより十分な数のK14-AGF TG mouseを得た。臨床像としてTG(+) mouseにおいて両眼瞼、両耳介の発赤、腫脹がやはり認められた。また背部より生検を行ったところ正常マウスと比較して真皮上層に明らかなも毛細血管の増生、及び表皮の肥厚を認めた。しかしマンローの微小膿瘍と言われる好中球の表皮への浸澗は認めず、表皮の増殖、真皮上層の血管像性は尋常性乾癬の病理組織に合致するが、特徴の一つである好中球の浸潤は認めず、AGFのみでは乾癬の病態を完全に再現できないと考えた。また新生仔マウスより表皮ケラチノサイトを分離して培養を行ったところTG(+) mouse由来のケラチノサイトにおいて明らかな増殖の促進が認められた。培養条件下においても増殖能が高いと考えられる。また乾癬患者の血清のAGFをELISA法にて測定したが健常人と比べて明らかな上昇は認めず乾癬との関連ははっきりしなかった。以上の結果よりAGFは表皮ケラチノサイトにより分泌され皮膚において強力な血管新生因子として働くことが可能であることが明らかとなり乾癬の病態形成に関与している可能性が示唆された。
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