全身性強皮症患者では抗MsrA自己抗体が健常人と比較して有意に高値を示していた。しかし、サブタイプ間では有意差は認めなかった。抗MsrA自己抗体値と臨床症状などとの相関を検討したところ、心疾患のある群、肺線維症のある群、そしてtotal antioxidant powerが低下している群で抗MsrA自己抗体は高値を示していた。さらに、呼吸機能検査の%VC、%DLcoと抗MsrA自己抗体は負の相関を認めた。腎血管抵抗と抗MsrA自己抗体は正の相関が確認できた。酸化ストレスマーカーであり、強皮症の重症度と相関する8-isoprostane、Hsp70との比較でも正の相関が認められた。また、強皮症患者血清中の抗MsrA自己抗体はMsrAの活性を抑制した。以上のことから、抗MsrA自己抗体は、強皮症患者血清中に存在し、強皮症の病態、および重症度と相関している可能性が示唆され、強皮症における酸化ストレスの関与を改めて示した。ブレオマイシン誘発性の強皮症マウスモデルにフリーラジカル消去剤であるエダラボンを投与したところ皮膚硬化が改善し、強皮症の治療薬となり得る可能性が示唆された。
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