悪性黒色腫(メラノーマ)は高率に転移を起こし、放射線や化学療法に抵抗を示す。メラノーマ細胞は不死化、増殖能、転移能、免疫学的寛容、アポトーシス抵抗性など多数の悪性形質を獲得しているが、メラノーマの増殖抑制やアポトーシス誘導に最も効果的な標的分子あるいはシグナル経路は明らかでない。本研究は、主に、1)メラノーマ細胞株におけるインターフェロン関連アポトーシス誘導遺伝子の同定と発現、2)日本人メラノーマ組織におけるインターフェロン関連遺伝子の発現、3)エピジェネテイック修飾される細胞遺伝子再導入による細胞死誘導の検討を行い、悪性黒色腫においてエピジェネテイックな発現制御を受ける細胞遺伝子を明らかにし、メラノーマ治療に貢献しようとするものである。 本年度は、1)メラノーマ細胞株(AK1、MeWo、MM418、TXM18、70W、G361、MMIV、MMAc、SK-mel-23、SK-mel-24、SK-mel-118)にインターフェロンβを加えてアポトーシスが誘導されるか否かの検討を行い、2)メチル化によって発現抑制されるインターフェロン誘導性かつアポトーシス関連遺伝子であるRASSF1A、XAF1、IRF7、TRAIL R1をcDNAクローニングした。組み替えアデノウイルス作製後、これら細胞遺伝子とインターフェロンβによって、メラノーマ細胞がアポトーシスを起こすかどうかを検討する予定である。
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