悪性黒色腫(メラノーマ)は高率に転移を起こし、放射線や化学療法に抵抗を示す。メラノーマ細胞は不死化、増殖能、転移能、免疫学的寛容、アポトーシス抵抗性など多数の悪性形質を獲得しているが、メラノーマの増殖抑制やアポトーシス誘導に最も効果的な標的分子あるいはシグナル経路は明らかではない。 本研究は、1)メラノーマにおけるインターフェロン関連アポトーシス誘導遺伝子の同定と発現、2)日本人メラノーマ組織におけるインターフェロン関連遺伝子の発現、3)エピジェネティック修飾される細胞遺伝子の検索を行い、悪性黒色腫においてエピジェネテイックな発現制御を受ける細胞遺伝子を明らかにし、メラノーマ治療に貢献しようとするものである。 平成20年度は以下の研究結果を得た。1)インターフェロンによりアポトーシスの誘導されるメラノーマ細胞では特異的にカスパーゼ2が活性化されることが見い出された。2)メラノーマ細胞においてメチル化阻害されることが報告されたRASSF1A、XAF1、IRF7をアデノウイルスベクターにクローニングし、末端黒子型メラノーマ細胞がインターフェロンとこれら細胞遺伝子発現によりアポトーシスが誘導されるかどうかを検討した。3)メラノーマ細胞株に5-Aza-citydineとインターフェロンβを添加しアポトーシスが誘導される条件を検討し、インターフェロンによって特異的にメチル化阻害される細胞遺伝子の同定と遺伝子クオーニングを行っている。
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