研究概要 |
ハプテンの繰り返し塗布によるアトピー性皮膚炎モデルマウスを用いて、経時的に脾臓におけるCD11b^+Gr-1^+細胞の動態を解析したところ、脾臓中のCD11b^+Gr-1^+細胞は炎症を繰り返すことによって増加していくことが明らかになった。脾臓中のCD11b^+Gr-1^+細胞はM-CSFR陽性,F4/80陽性、マンノースレセプター陽性で、MHC II,CD80,CD86が弱陽性であり、未熟なマクロファージのなかでもM2に分化していることが示唆された。 また、CD11b^+Gr-1^+細胞とナイーブT細胞をTranswellで共培養したところ、ナイーブT細胞のCD3/CD28刺激による増殖能やIL-2産生能が抑制されることが分かった。また、アロ混合リンパ球反応において、CD11b^+Gr-1^+細胞はきわめて弱い抗原提示能しか持たないことが分かった。 CD11b^+Gr-1^+細胞のT細胞機能抑制の機序を知るため、CD11b^+Gr-1^+細胞のアルギナーゼの発現を検討したところ、リアルタイムRT-PCR、生化学的定量のいずれにおいても、CD11b^+Gr-1^+細胞のアルギナーゼの発現が増加していた。 以上のことから、アトピー性皮膚炎や慢性接触皮膚炎のような慢性皮膚炎症においては、過度の炎症を抑制することで組織の破壊を防止するための機構として、未熟ミエロイド細胞であるCD11b^+Gr-1^+細胞が増加していることが示唆された。
|