マウスのハプテン繰り返し塗布によるアトピー性皮膚炎モデルにおける未熟ミエロイド細胞の動態と役割について検討した。このモデルマウスでは、4週頃までは炎症が増強するが、その後はほとんど炎症の増強がみられず、炎症の進展にともなって、何らかの免疫制御機構がはたらいていることが示唆された。 そこで、未熟ミエロイド細胞の動態を経時的に検討したところ、皮膚炎の進展に伴って経時的に未熟ミエロイド細胞が脾臓および炎症局所皮膚組織で増加していた。この未熟ミエロイド細胞は、アルギナーゼの産生能が亢進しており、表面形質の検討結果とあわせて、マクロファージ系、なかでもalternatively activated macrophageの性格を示していた。 アトピー性皮膚炎モデルマウスの脾細胞から調製した未熟ミエロイド細胞は、アルギニンを含まない培地を用いた混合培養において、CD3/CD28によるリンパ球の増殖とインターロイキン-2の産生を抑制したが、この抑制効果はアルギナーゼ阻害剤を添加するとみられなくなった。一方、一酸化窒素はこの阻害作用に関係していなかった。 以上のことから、皮膚炎が進展するのに伴って、リンパ球の増殖活性を抑制する作用を持つ未熟ミエロイド細胞が、脾臓や炎症局所組織に増加し、炎症反応のさらなる悪化を制御しているものと考えられた。今後、この機構を利用したアレルギー反応の新しい制御法の開発につながることが期待される。
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