研究課題/領域番号 |
19591325
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
後藤 孝也 自治医科大学, 医学部, 講師 (80284355)
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研究分担者 |
岩本 禎彦 自治医科大学, 医学部, 教授 (10232711)
中山 一大 自治医科大学, 医学部, 助教 (90433581)
宇津見 七海 自治医科大学, 医学部, ポストドクター (20406086)
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キーワード | 神経線維腫 / ゲノム / エピジェネティック / 悪性腫瘍 |
研究概要 |
倫理委員会の承認を受けた方法により、神経線維腫症患者(良性腫瘍及び悪性神経梢腫を発症した成人24名の患者)の手術切除組織および血液検体よりゲノムDNAを抽出した。2次元電気泳動法を利用したゲノム網羅的解析を行う目的で制限酵素処理し、解析を行った。しかしながら、悪性神経梢腫の部位と良性神経線維腫の部位との有為な差異を検出するには至らなかった。そのため、感度を上げる目的で、PCR法を加え、平行して10kbaseのジーンチップを用いた解析を加えることにした。解析に用いたゲノム遺伝子をXbaIの制限酵素で完全消化し、制限酵素サイトに特定の配列のリンカーを挿入させ、そのリンカー部分に対するプライマーで増幅することで感度を増幅させた。これらの増幅したゲノム遺伝子を用い泳動解析とジーンチップ解析を行った。これまでの諸外国における報告例では、小児においては、NF1の遺伝子およびプロモーター部位において変異は認めないものの、成人患者症例においては、プロモーター部位に欠損やメチル化の異常が認められるという報告があったが、我々の成人症例による解析では、ゲノム上の欠損や特異的メチル化の部位などを認めなかった。臨床的解析を加味した解析で検討した悪性腫瘍(MPNST)を併発した患者と良性の腫瘍のみ患者との比較では、悪性化した部位以外の腫瘍、およびカフェオレ班の量や大きさの差異や母地となった良性腫瘍部分の大きさなどとゲノム遺伝子の異常との相関において、優位な相関変異は認められないと考えられた。海外の症例の臨床像の詳細が不明であるため、単純な比較が出来ないが、発生母地となった組織の細胞の形態変異なども今後検討併せて解析する必要があることが示唆された。
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