研究概要 |
1.本年度の研究では薬剤性過敏症症候群(DIHS)の経過において、CD25より機能と関連の深いFoxP3+細胞として検出される制御性T細胞がどのように変動するのかを検討した。この結果、DIHSの急性期において採取された末梢血において制御性T細胞は著明に増加していることが判明し、一方、回復期に採取された末梢血では制御性T細胞は機能的に傷害されていることが明らかになった。このような、結果は通常経験される薬打疹においては認められない所見であった。 2.DIHSの患者から得られた病変部の皮膚組織においてFoxP3+制御性T細胞の検索を施行した。この結果、DIHS病変部の真皮において多数のFoxP3+制御性T細胞の浸潤が認められた。この分布密度は他の病型、すなわち、Stevens-Johnson症候群や中毒性表皮壊死症の陽性細胞の分布密度と比較して有意に増加していた。さらに、FoxP3+制御性T細胞のマーカーの検索においてこの細胞はCCR4,CLA,ESL,CXCR3などが陽性で、CCR6やCCR7は陰性であることが判明し、皮膚向性を有する皮膚に浸潤しやすい細胞であることが明らかになった。 3.これらの所見より、DIHSにおいて特異的に認められる制御性T細胞の像加がウイルス再活性化に関与する可能性が測され、この細胞は皮膚へ浸潤するポテンシャルを有していることが示唆された。 4.今後はFoxP3+制御性T細胞がB細胞やNK細胞に与える影響を検討していく必要がある。
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