研究課題
色素性乾皮症(xeroderma pigmentosum;XP)は本邦において比較的高頻度(1/5万人)の遺伝性高発癌性光線過敏症である。特に欧米症例では稀な進行性の神経変性(中枢〜末梢神経)が約60%に出現し、その重症度が予後に深く関与するが、この分子機構は未だ不明である。XPは紫外線性DNA損傷を修復する主なパスウェイであるヌクレオチド除去修復機構(NER)に異常がある疾患であるが、XP神経症状はNERの異常では説明できない。そこでまず、XP神経症状との関連が最近示唆されている酸化的DNA損傷の修復能を細胞レベルで解析する鋭敏なシステムをローズベンガル処理+可視光線(キセノンランプ)照射したルシフェラーゼ発現ベクター含有のレポータープラスミドを細胞に遺伝子導入することで確立した。次いで、同法を用いて研究者が保管している18系統のXP細胞、3系統のCS細胞、6系統の正常細胞(いずれも患者あるいた健常人皮膚由来の初代培養線維芽細胞)を用いて検討したところ、重篤なXP神経症状が必発するXPA細胞では酸化的DNA損傷(主として8オキソグアニン)に対する修復能が正常細胞における修復能の約40%であり有意に低下しているという所見を得た。XPD細胞でも低下する傾向がみられたが、XP神経症状との関連は見いだせなかった。XPC、XPF、XPG、CS(Cockayne syndrome;XP)細胞では低下はみられなかった。この結果はXPA群において酸化的DNA損傷と神経症状との関連を示唆するものである。
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J Invest Dermatol 127
ページ: 1745-1751
J Derm Sci, Oct 5 Epub ahead of print
Brain and Development, Sept 14 Epub ahead of print
Eur J Dermatol (in press)