研究課題/領域番号 |
19591334
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
泉 剛 北海道大学, 大学院・医学研究科, 助教 (60312360)
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研究分担者 |
山口 拓 北海道大学, 大学院・医学研究科, 助教 (80325563)
松本 眞知子 北海道医療大学, 薬学研究科, 准教授 (70229574)
吉岡 充弘 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (40182729)
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キーワード | 精神薬理学 / 不安 |
研究概要 |
(1) 恐怖条件付けストレスをラットに負荷することにより、扁桃体基底核において特異的に、神経細胞活性化の指標である転写因子c-Fosの発現が増加した。c-Fos陽性細胞は、ニューロンのマーカーであるNeuN、MAP-2が陽性で、グリアのマーカーであるBLBPが陰性、グルタメートニューロンのマーカーであるグルタミナーゼが陽性、GABAニューロンのマーカーであるパルブアルブミンが陰性であったことから、グルタメートニューロンであると考えられた。 (2) 恐怖条件付けストレスの条件刺激のみを反復して提示することにより、恐怖条件付けによって惹起されるすくみ行動が段階的に減少し、恐怖条件付けの消去がおきることを行動学的に確認した。その際に扁桃体基底核において特異的に、転写因子CREBのリン酸化がすくみ行動の減少と平行して低下した。 (3) 扁桃体基底核の機能を解明する手がかりを得る目的で、嗅周囲皮質刺激による扁桃体基底核からの誘発電位の導出を試みた。嗅周囲皮質刺激により、扁桃体基底核において潜時9.0±0.7msの陰性波、潜時20.1±1.7msの陽性波、潜時41.7±1.9msの陰性波が誘発された。誘発波形の振幅は刺激強度依存性で、空間特性を調べるために垂直方向に記録電極を移動して記録を行ったところ、誘発波形は扁桃体基底核領域で最大振幅を示し、扁桃体基底核領域下方への通過により波形が反転した。これより、記録された波形は扁桃体基底核起源であることを確認した。 以上により、扁桃体基底核のグルタメートニューロンが、恐怖条件付けストレスにおいて中心的な役割を担っていることを明らかとし、また、扁体基底核のグルタメートニューロンの集団が、電気生理学的にもまとまった挙動を示すことを示唆した。
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