研究概要 |
(1)過眠症状に対する髄液ヒスタミン値の状態感受性、状態特異性を確認すること。(2)Kleine-Levin症候群で視床下部ペプチドの測定。 (1) ヒスタミン神経系はオレキシン神経系の下位にあり、睡眠の実行系と考えられている。過眠症で髄液中のヒスタミン値を測定したところ、ナルコレプシーと特発性過眠症は、同様に対照群に比べて共に低値であった。しかしながら、リタリン等の中枢神経刺激薬を内服している症例では、対照群との有意差は認められなかった。ナルコレプシーではリタリンの内服の有無にて、オレキシン値に変化はないが、ヒスタミン値に関しては、高値になる傾向がみられた。ヒスタミン値は、睡眠時無呼吸症では対照群と同等な値であった(Kanbayashi,Sleep2009)。 (2) Kleine-Levin症候群(反復性過眠症)は思春期に好発し、数日間から2週間程度傾眠状態が続き、病相間歇期には全く平常に戻る疾患である。脳血管関門が欠如しているので感染等の影響を受けやすい視床下部の内側底部の弓状核のαMSHが障害されると活動量は低下し、摂食は亢進することになり、Kleine-Levin症候群の表現型に一致している。故に同疾患における視床下部ペプチドの測定を行った。結果としは髄液オレキシンは正常値であり、メラノコルチン系(αMSH、AgRP等がライガンド)については、αMSHは測定出来ず、AgRPも対照群と同様の値であった。一方で神経性食指不振症ではAgRPは高値であった。今後は視床下部の別の神経ペプチド(MCH,NMU,NMS等)を測定する計画である。
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