研究概要 |
(1パニック障害患者DNAサンプリング及び心理・臨床データ分析について 引き続きリクルートを精力的に行っており、不安障害専門の医療法人和楽会(赤坂クリニック・なごやメンタルクニック・横浜クリニック)の協力で800人以上のパニック障害患者のリクルートとサンプリングが終わっている。 (2)パニック障害の遺伝子多型解析について Affymetrix社の500K SNPチップを使用して、パニック障害患者例200例と健常者200例を用いて、東大医学部SNPタイピングセンター(人類遺伝学教室)と連携して、全ゲノムレベルでの関連研究を行い解析中である。解析の途中結果であるが、全ゲノム上のアリル頻度を患者-対照で比較したところ、P<0.0001レベルでの有意差が50弱のSNPsで見出されている。今後は、さらに解析を深めるとともに、選定された候補遺伝子について、患者サンプルをさらに増やして第二次サンプルとして解析し、さらに候補部位を絞り込む計画である。 (3)臨床的検討と機能解析について 近赤外線分光法(Near-infrared spectroscopy: NIRS)を用いた研究については、まず不安障害で比較的対応しやすい恐怖症(Spider Phobia)について、島津製作所製(OMM-3000)を用い検討した。Virtual Reality (Virtually Better社Georgia, America)を用いたエクスポージャー法を用いた治療の前後でのNIRS所見として、前頭葉全体に脳血流量が顕著に増加した。また、その増加は約18分経過後から低減しはじめ、20分程度のエクスポージャーが効果を発揮するために必要であるというこれまでの知見を裏付けた。
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