研究課題/領域番号 |
19591346
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
中村 主計 富山大学, 附属病院・神経精神科, 助教 (00447658)
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研究分担者 |
鈴木 道雄 富山大学, 医学部・精神神経医学, 教授 (40236013)
川崎 康弘 富山大学, 附属病院・神経精神科, 講師 (80242519)
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キーワード | こころのリスク状態(ARMS) / 統合失調症 / 前駆状態 / 3次元MR画像 / 拡散テンソル画像 |
研究概要 |
統合失調症の前駆状態の診断精度向上のため、前駆状態にみられる臨床的特徴および脳形態・機能の特徴を明らかにすることを目的とし、国際的に共通して用いられる「こころのリスク状態(ARMS)」の臨床診断基準により診断された統合失調症の発症危険群を対象に、詳細な臨床症状の評価、構造的MRIによる脳構造の評価、DTIによる脳部位間の機能的結合の評価、社会性関連課題を用いた機能的MRI検査による脳機能の評価を行った。平成21年度には富山大学附属病院神経精神科と県の精神保健行政サービスが中心となり行っている「こころのリスク相談事業」の利用者から、新たに11名のARMS症例を対象として加えることができ、富山大学病院精神科外来で経過観察をしながら、全脳の3次元MRI画像、拡散強調画像を得ると同時に臨床症状の評価を行った。また、初発統合失調症については9例を対象として加え、精神科外来で治療を行いながら、脳画像の収集、臨床症状の評価を行った。予備的検討として、上記対象のデータの一部を用いて、統合失調症患者の3次元全脳画像と拡散強調画像を用いて、Statistical Parametric Mapping2(SPM2)により、白質の微細構造の変化の指標であるfractional anisotropy(FA)と臨床症状、灰白質体積についての統計学的な解析を行った。臨床症状との検討では統合失調症患者の脳梁前方部のFAと陰性症状の重症度に負の相関の認め、脳梁前方部のFAが小さい患者ほど陰性症状が重度であることが示された。灰白質体積との検討では患者群で左下前頭後頭束のFAと左後頭葉内側面、左シルビウス裂後部の灰白質体積、右下前頭後頭束のFAと右前部、後部帯状回の灰白質体積に正の相関を認めた。
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