研究課題
統合失調症の患者死後脳においてAktの発現減少が海馬で観察されることから,我々は統合失調症の病態を規定する指標の有力な候補としてAktを選び,その発症時に海馬で誘導されるAktの発現減少がGABAニューロンの機能低下を介して統合失調症の症状を惹起するとの仮説を立てた。この仮説に基づきラットX線照射モデルを用いて,このモデルに見られる認知行動異常や脳組織病理所見を遺伝子の中枢神経細胞への選択的導入で修復できるかどうかを検証した。平成20年度はヒトAkt遺伝子を組み込んだアデノウイルスを用いて,ラットX線照射モデルの海馬へのAkt遺伝子の特異的導入を施し,ラットに見られる感覚運動系についての効果を検証した。しかし導入したラットの解析ではPPIに有意な変化が認められなかった。さらに現在所有するラットX線照射モデルでは海馬でのAktの発現減少が十分再現できないことも判明した。以上の理由により,ラットX線照射モデルの所見のみ論文としてまとめ、本研究計画については本年度内限りで中止することを決定した。
すべて 2008
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)
PLoS ONE 3
ページ: e3648
ページ: e2283