今年度は、引き続き甲状腺ホルモン受容体ノックアウトマウス(TRKO)の行動解析、組織学的検討を試みた。TRKOα、βからダブルノックアウトマウスを作成することができ、これを比較検討に供した。昨年までの結果と比較した結果、TRKOαはオープンフィールドテストの行動で多動と不安閾値が高いことが示された。Homozygotesにその傾向は強く、heterozygotesはコントロールとhomozygotesの中間の傾向を示したことから、受容体の有無が影響していることが示唆された。雌雄の差は有意ではなかった。多動傾向はTRKOβでより顕著で、αと同様に不安閾値の高さが明らかになった。 homozygotesが最も多動で、heterozygotes1はコントロールと中間を示す所見も同様であった。意外なことに、ダブルノックアウトマウスはワイルドタイプよりも寡動を示し、すべての測定項目でTRKOα、βを含めたすべてのTRKOよりも動きが少なく不安も低く、α、β単独ノックアウトマウスと際立った違いを認めた。今後ダブルノックアウトマウスを含めて内分泌学的検討とともに、組織を検討する予定である。
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