研究課題
現在、アルツハイマー病(AD)患者の脳機能障害の評価は脳血流SPECT検査で行われるのが一般的となっている。これは神経細胞機能と脳血流(CBF)とが相関するという事実に基づいてのことである。そして近年、脳血流SPECT検査をADに対して行った複数の研究で、ADでは初期から後部帯状回(PCC)のCBFの低下が認められることが明らかになった。しかしPCCは、病理学的には初期のADにおいては異常を認めにくい部位であることが知られており、両者に解離を認めることが問題となっている。そこで我々は神経細胞の蛋白合成(CPS)をin vivoで測定できる11C-メチオニンポジトロン断層画像(MET)を用いて、PCCのCPSを測定しCBFと比較した。対象は8例の軽度〜中等度のAD患者(年齢73.0±5.4歳、平均MMSE19.3±3.3)。この症例に対してMETと1231-IMP-単一光子放射断層画像(IMP)を施行し、PCCのCBFとCPSを比較した。対照群(HC)として、年齢、教育歴をほぼ一致させた8名の健常高齢者(MMSE28.6±1.4)にIMPを実施した。各画像を、評価者によるbiasを除外するためにNEUROSTATを用いて解剖学的標準化を行った。また被験者間の核種の取り込みの差によるbiasを除外するためにPCCのCBFとCPSはともに後頭葉との比を算出して解析に用いた。HCとADの間でIMPを比較した結果、PCCのCBFはADで有意に低下していた。ADにおいてMETとIMPとを比較した結果では、PCCのCBFはCPSより有意に低下していた。このことより脳血流SPECTで認められる血流低下は実際の神経細胞障害の程度よりも大きいことが明らかになった。またMETはADの神経細胞の障害を評価する方法として有用性であると考えられた。
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