研究課題
脳血管性障害から認知症に至る危険因子とアルツハイマー病関連因子との相互作用を解明するため認知機能と遺伝子とから研究した。■認知機能研究:物忘れを訴える循環器内科のフォローアップ症例にHDS-R・MMSE・NDテスト・Raven's Colored Progressive Matrices(RCPM)を実施した。脳画像検査から脳血管障害診断を行い、脳血管認知症への進展の有無を検討の上、認知機能検査データの総得点および下位項目の誤答パターンを解析した。認知症の早期発見に鋭敏な課題項目を検討した結果、HDS-R・MMSEの「単語再生」での虚再生よりもNDテストの論理的記憶に関する「物語再生」での「記憶錯誤」「作話」がより認知症への発症予見に鋭敏であることが示された。さらに前頭葉機能を評価するRCPMの総得点と誤答パターンも検討した。別途、アルツハイマー病患者に実施したADASの「単語再認」課題での「虚再認」を検討し、脳血管性認知症も含めた認知症の発症リスク予測を検討した。■遺伝子研究:これまでアルツハイマー病について21番染色体ゲノムスキャンを行い、リスク遺伝子としてDYRK1Aを得、またDNM2についてもアルツハイマー病の関連解析で有意という結果、網羅的アルツハイマー病脳発現解析から得られた候補遺伝子PPP2R2BについてもSNP解析で有意な結果を得た。脳血管障害については認知知機能検査実施後に研究協力への書面による同意を取得後、遺伝子採血をして、脳血管障害のDNA検体の解析を行い、PPP2R2B遺伝子のSNPs解析では脳血管障害でもアルツハイマー病でも共通してPPP2R2Bがリスク遺伝子というプレリミナリーな結果から、アルツハイマー病と脳血管障害の共通メカニズムの存在が示唆された。
すべて 2008
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