研究課題/領域番号 |
19591366
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
近藤 毅 琉球大学, 医学部, 教授 (40215455)
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研究分担者 |
三原 一雄 国立大学法人琉球大学, 医学部, 准教授 (30302029)
中村 明文 国立大学法人琉球大学, 医学部附属病院, 助教 (40381222)
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キーワード | lamotrigine / 治療抵抗性うつ病 / MADRS / GAF / 思春期症例 / 抗うつ薬 / 自殺関連事象 / 治療前危険因子 |
研究概要 |
平成21年度は、複数の抗うつ薬および気分安定薬に治療抵抗性を示す難治性うつ病23例に対し、海外では双極性うつ病への適応を有する気分安定薬lamotrigineによる強化療法を行った結果を解析した。投与8週後において、Montgomery-Asberg Depression Rating Scale (MADRS)の平均スコアは42.7%減少し、Global Assessment of Functioning (GAF)は28.7%の増加を認め、最終的な反応良好、部分反応、反応不良の比率は47.8%、26.1%、26.1%と良好な成績を得た。治療反応は気分障害の亜型診断の影響を受けず、導入時のうつ病相が6ヶ月以内で過去の病相反復が6回以上の症例では有意に良好な反応が得られたことより、lamotrigineはbipolarityに関係なく短周期で高頻度に病相を反復する気分障害に奏効すると考えられる。また、抗うつ薬投与中の自殺関連事象(suicide-related events : SRE)のリスクが高いとされる10代患者43例を対象に、治療前および治療3ヶ月後のSREの変動とSREが継続する危険因子について解析した。その結果、抗うつ薬投与後にSREは62.7%から27.9%と大幅に減少し、抗うつ薬に起因したSRE悪化は認めなかった。SRE継続群は、女性、15歳以上、精神病症状、境界性人格障害の並存といった臨床背景に加え、内面のアンヒドニア、焦燥感、絶望感を抱えている点が特徴であり、全例が治療前に自傷行動または自殺企図といった行動化を認めた。これらの治療前危険因子のスコア化を行ったところ陽性尤度比14.2を以ってSRE(+)群とSRE(-)群の識別が可能であり、思春期症例における抗うつ薬投与前のSREリスクを判定するうえで有用なスクリーニング法となる可能性が示唆された。
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